新・花の仲間調べ
仲間ごとに分類して季節の花をお届けします。
縷紅草(ルコウソウ)
- 2016/08/31 (Wed)
- ヒルガオ科 |
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顔出した雄しべ愛しき縷紅草
縷紅草(ルコウソウ)はヒルガオ科サツマイモ属(イポモエア属)の蔓性多年草である。
イポモエア属は世界に500種以上が分布する。
また、多くの園芸品種がある。
薩摩芋(サツマイモ)が代表種で、属名の和名もサツマイモ属という。
園芸的にはイポメア属の名が用いられることが多いが、これは属名を英語風に読んだものである。
なお、本種は分類の仕方によってはルコウソウ属とされることもあるが、Catalogue of Life でも YList でもそれは異名の扱いとなっている。
本種の原産地は、メキシコから南アメリカ大陸の北部である。
英名はサイプレスバイン(cypress vine)である。
サイプレスは糸杉(イトスギ)のことで、バインは蔓性の植物を指す言葉である。
日本へは江戸時代の初期に渡来した。
庭植え、鉢植えで支柱を立てるなどして観賞用に栽培されている。
寒さに弱いので、園芸上は一年草として扱われる。
和名の「縷」は糸を意味する言葉で葉の形状を表し、「紅」は花の色を表している。
草丈は40センチから50センチくらいである。
蔓の長さは1メートルから3メートルになる。
葉は羽状に深く裂けて糸のように細かく、互い違いに生える(互生)。
開花時期は8月から10月である。
細い筒状で先が星状に浅く5つに裂けた真紅の花をつける。
花径は2センチくらいである。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
近縁種に、葉に切れ込みがない丸葉縷紅草(マルバルコウソウ)がある。
また、両者が交雑育成されたのが羽衣縷紅草(ハゴロモルコウソウ)である。
俳句の季語は夏である。
花言葉は「おせっかい」である。
8月24日の誕生花である。
属名の Ipomoea はギリシャ語の「ips(芋虫)+homoios(似た)」からきている。物に絡みついて這い登る性質からから名づけられた。
種小名の quamoclit はギリシャ語の「kyamos(豆)+clitos(低い)」からきており、マメのように蔓性で背丈が低いという意味から名づけられた。
写真は9月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Ipomoea quamoclit(異名:Quamoclit vulgaris)
★小さくも真っ赤に燃える縷紅草
陽射しに映えるパッションの色
☆夏空に真紅の星は縷紅草
涼やかな葉は緑優しく
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松葉牡丹(マツバボタン)
- 2016/08/23 (Tue)
- スベリヒユ科 |
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松葉牡丹(マツバボタン)はスベリヒユ科スベリヒユ属(ポルチュラカ属)の一年草である。
ポルチュラカ属は世界の温帯から熱帯にかけて137種が分布する。(Catalogue of Life: 2016 Annual Checklist より)
また、多くの園芸品種が作出されている。
本種の原産地はブラジル、アルゼンチン、ウルグアイである。
英名はローズモス(rose moss)、モスローズ(moss rose)などである。
日本へは江戸時代の末期に渡来した。
庭植え、鉢植えとして観賞用に栽培されている。
また、逸出したものが全国各地で野生化している。
例えば北海道のブルーリストではBランク(北海道に定着している外来種)に選定されている。
和名の由来は、葉が多肉質で「松」のように細く、花が「牡丹」に似るということからきている。
草丈は10センチくらいである。
茎は地を這って横に広がる。
葉は線状の披針形(笹の葉のような形)で、先は鋭く尖る。
葉は互い違いに生える(互生)が、茎先では輪生状となる。
開花時期は6月から9月である。
花の色には赤、桃色、白、黄色、橙色などがある。
花径は3センチから6センチくらいで、一重咲きのものと八重咲きのものがある。
一重咲きの場合の花弁数は5枚である。
花は一日花だが、次々と花をつける。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
花言葉は「無邪気」「可憐」である。
8月21日の誕生花である。
属名の Portulaca はラテン語の「porta(入口)の縮小形である portula」からきている。果実は熟すと蓋がとれて口が開くことから名づけられた。
種小名の grandiflora は「大きな花の」という意味である。
写真は7月に神奈川県立フラワーセンター大船植物園で撮った。
学名:Portulaca grandiflora(異名:Portulaca pilosa subsp. grandiflora)
★むせ返る夏の陽射しも友にして
色も鮮やか松葉牡丹は
☆夏の日の燃える思いはその花に
松葉牡丹の色とりどりに
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唐糸草(カライトソウ)
- 2016/08/19 (Fri)
- バラ科 |
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唐糸草(カライトソウ)はバラ科ワレモコウ属(サングイソルバ属)の多年草である。
サングイソルバ属はアジア、ヨーロッパ、北アメリカに40種が分布する。(Catalogue of Life: 2016 Annual Checklist より)
日本にも吾亦紅(ワレモコウ)などが分布し、属名の和名はワレモコウ属という。
本種は日本固有種である。
本州の中部地方北部から北陸地方にかけて分布し、日本海側の亜高山や高山の砂礫地や草地に生える。
また、観賞用として庭植え、鉢植えにされる。
草丈は40センチから90センチくらいである。
根際から生える葉は奇数羽状複葉(鳥の羽のように左右に小葉がいくつか並び、先に1つの小葉がついて1枚の葉が構成される)である。
小葉は長い楕円形で、縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。
茎につく葉は小さく、疎らに互い違いに生える(互生)。
開花時期は7月から9月である。
茎先に長さ10センチくらいの紅色の穂状花序(柄のない花が花茎に均等につく)を出す。
花は上から下へと咲いていく。
花びらはなく、萼片が4枚で、雄しべが萼片より長く突き出す。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
和名の由来は、糸状の花糸(雄しべの花粉を入れる袋についている柄)を中国から渡来した絹糸に見立てものである。
花言葉は「繊細」である。
8月16日の誕生花である。
属名の Sanguisorba はラテン語の「sanguis(血)+sorbere(吸収する)」からきている。根にタンニン多いので止血作用があるという評判から名づけられた。
種小名の hakusanensis は「(石川県の)白山の」という意味である。
写真は7月に箱根湿生花園で撮った。
学名:Sanguisorba hakusanensis
★鮮やかなピンクの色がよく似合う
唐糸草は日本の宝
☆野の中にピンクの花はフワフワと
風に揺られて漂うように
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姫檜扇水仙(ヒメヒオウギズイセン)
- 2016/08/18 (Thu)
- アヤメ科 |
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姫檜扇水仙(ヒメヒオウギズイセン)はアヤメ科ヒオウギズイセン属(クロコスミア属)の多年草である。
クロコスミア属アフリカの南部や東部に9種が分布する。(Catalogue of Life: 2016 Annual Checklist より)
また、400種を超える園芸品種が作出されている。
代表種のクロコスミア・アウレア(Crocosmia aurea)に檜扇水仙(ヒオウギズイセン)の和名があり、属名の和名もヒオウギズイセン属という。
本種はフランスで交配によって作出された園芸品種である。
交配親は檜扇水仙(ヒオウギズイセン)と姫唐菖蒲(ヒメトウショウブ:Crocosmia pottsii)で、どちらも南アフリカが原産地である。
日本へは明治時代の中期に渡来した。
庭植え、鉢植えで観賞用に栽培されている。
英名をモントブレチア(montbretia)という。
YListではこの名称を別名として記載している。
また、逸出したものが野生化し、今では全国各地の人家周辺に生えている。
たとえば北海道のブルーリストではBランク(北海道に定着している外来種)に選定されている。
草丈は50センチから80センチくらいである。
葉は先のとがった線形で2列に並んで立ち、互い違いに生える(互生)。
葉の中央に縦の筋がある。
開花時期は7月から8月である。
花茎から3つから5つの穂状花序を出し、それぞれにたくさんの花をつける。
花の色は朱赤色で、下のほうから順に咲き上がる。
花被片は6枚で、内側と外側に3枚ずつあり、根元のほうでくっついている。
雄しべは3本、花柱(雌しべ)が1本ある。
花柱の先は3つに裂けている。
結実はせず、球根で増える。
花言葉は「謙譲の美」である。
モントブレチアが8月15日の誕生花である。
属名の Crocosmia はギリシャ語の「crokos(サフラン)+osme(匂い)」からきている。サフランの香りがするということで名づけられた。
種小名の crocosmiiflora は「サフランの香りのする花の」という意味である。
写真は7月に向島百花園で撮った。
学名:Crocosmia x crocosmiiflora
★濡れそぼりだらりの帯を垂らしたる
風情しおらしモントブレチア
☆夏の雨雫は紅を際立たせ
モントブレチア草陰に咲き
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アンモビウム・アラツム
- 2016/08/13 (Sat)
- キク科 |
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アンモビウム・アラツムはキク科カイザイク属(アンモビウム属)の多年草である。
アンモビウム属は暫定的学名だがオーストラリアに2種が分布する。(Catalogue of Life: 2016 Annual Checklist より)
本種に貝細工(カイザイク)の和名があり、属名の和名もカイザイク属という。
本種の原産地もオーストラリアで、東部のニューサウスウェールズ州、クィーンズランド州、ビクトリア州、タスマニア州などに分布する。
和名の由来は艶のある花の様子を貝細工にたとえたものである。
英名はウィングドエバーラスティング(winged everlasting)という。
園芸上は一年草として扱われる。
庭植え、鉢植えとされるほか、ドライフラワーとしてよく利用される。
なお、もう1種はアンモビウム・クラスペディオイデス(Ammobium craspedioides)といい、ニューサウスウェールズ州にのみ分布する。
草丈は40センチから80センチくらいである。
茎にはひれ状の翼があり、よく枝分かれをする。
根際から生える葉は披針形(笹の葉のような形)で、先がスプーンのように広がる。
茎につく葉には柄がなく茎を抱く。
葉の裏面には白い毛が生える。
開花時期は6月から8月くらいである。
茎先に花径25ミリから50ミリくらいの花(頭花)をつける。
花(頭花)は白い花弁のように見える紙状の総苞に包まれている。
花(頭花)は黄色い筒状花だが、咲き進むと黒っぽくなる。
花の後にできる実はそう果(熟しても裂開せず、種子は1つで全体が種子のように見えるもの)である。
花言葉は「不変の誓い」である。
8月14日の誕生花である。
属名の Ammobium はギリシャ語の「ammos(砂)+bios(生活)」からきている。砂地に生育することから名づけられた。
種小名の alatum は「翼のある」という意味である
写真は4月に京都府立植物園で撮った。
学名:Ammobium alatum
★艶のある苞葉がとても魅力的
貝細工の名ぴったり似合い
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