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新・花の仲間調べ

仲間ごとに分類して季節の花をお届けします。

カテゴリー「イネ科」の記事一覧

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稗(ヒエ)



稗(ヒエ)はイネ科ヒエ属の一年草である。
原産地はインドである。
日本へは縄文時代に北アジアから伝来し、粟(アワ)とともに主食とされた。
しかし、現在では水田の雑草ともなっている。
草丈は100~150センチくらいである。
茎は直立する。
葉は線形で、両面ともに毛は生えていない。
イネは葉と葉鞘の境目に葉耳という毛が生えているが、ヒエにはない。
また葉舌という膜状の突起もない。
開花時期は夏である。
茎先に円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、紫褐色を帯びた小穂をたくさんつける。
花の後にできる実はえい果(イネ科の果実で薄い木質の果皮が種子に密着している)である。
かつては重要な主食穀物であったが、昭和期に米が増産されるとともに廃れた。
現代では、小鳥の餌など飼料用としての利用が多いが、健康食品として見直されつつある。
俳句の季語は秋である。
属名の Echinochloa はギリシャ語の「echinoa(ウニ)+chloa(草)」からきている。芒(のぎ)の形から名づけられた。
種小名の esculenta は「食用になる」という意味である。
写真は7月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Echinochloa esculenta


★今一度見直されるか稗の実は
 黄金の色に輝き見せて




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黍(キビ)



黍(キビ)はイネ科キビ属の一年草である。
原産地はインドだと推定されている。
ヨ-ロッパやエジプト、中国などで古くから栽培されてきた。
日本へは弥生時代に中国から渡来したと考えられている。
五穀と呼ばれる穀類の1つである。
和名の由来は、黄実(きみ)の転訛したものという説が有力である。
草丈は1メートルくらいになる。
葉は線形である。
夏から秋にかけて茎先に20センチくらいの穂ができて、垂れ下がる。
実は粟(アワ)よりも少し大きい。
食料や飼料として用いられるが、栽培地は減っており、北海道や岡山などで地域特産物としてつくられているのが現況である。
属名の Panicum はラテン語の「panus(キビの穂)」からきている。
種小名の miliaceum は「(イネ科の)イブキヌカボ属(Milium)のような」という意味である。
写真は7月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Panicum miliaceum


★黍飯も今ではこれを看板に
 商いをする店も現れ




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大粟還り(オオアワガエリ)



大粟還り(オオアワガエリ)はイネ科アワガエリ属の多年草である。
英名をチモシー(timothy)という。
原産地はヨーロッパとアジア北部である。
アジア、オセアニア、南北アメリカなどで牧草として栽培されている。
日本へは明治時代の初期に渡来し、牧草として北海道で試植された。
現在では野生化して、全国各地の道端や野原などに生える。
草丈は50~100センチくらいである。
葉は線形で柔らかく、数枚が互い違いに生える(互生)。
開花時期は6~8月である。
茎先に淡い緑色をした円柱形の花穂をつける。
花は小さく目立たない。
結実期は7~9月である。
花の後にできる実はえい果(イネ科の果実で薄い木質の果皮が種子に密着している)である。
種子を水盤の脱脂綿にまいて萌え出た苗を絹糸草(キヌイトソウ)という。
俳句では「絹糸草」が夏の季語である。
属名の Phleum はギリシャ語の「phleos(葦の一種の名)」からきている。
種小名の pratense は「草原に生える」という意味である。
写真は6月に小石川植物園で撮った。
学名:Phleum pratense


★名前だけ知っていたけどチモシーは
 こんな穂なのかと頷きながら




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狗尾草(エノコログサ)



狗尾草(エノコログサ)はイネ科エノコログサ属の一年草である。
北海道から沖縄にかけて分布し、荒れ地や道端、畑などに生える。
海外でも、温帯地域に広く分布する。
草丈は40~70センチくらいである。
葉は線状の披針形で、互い違いに生える(互生)。
葉には両面ともに毛は生えていない。
開花時期は6~9月くらいである。
子犬の尾に似た緑色の花穂をつける。
穂の長さは3~6センチで、直立していて大きく垂れることはない。
名の由来は「いぬころ(子犬)+草」で、穂の形が子犬の尻尾に似ているからきている。
また、猫じゃらし(ネコジャラシ)とも呼ばれるが、これはこの穂で猫をじゃれさせて遊んだことに由来する。
英名はフォックステイルグラス(foxtail grass)である。
俳句では「狗尾草」や「猫じゃらし」が秋の季語である。
属名の Setaria はラテン語の「seta(剛毛)」からきている。小穂のつけ根を剛毛が囲むことから名づけられた。
種小名の viridis は「緑色の」という意味である。
写真は8月に埼玉県三郷市で撮った。
学名:Setaria viridis


★猫じゃらし見上げる空に雲白く
 辿る先には追憶の時




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米萱(コメガヤ)



米萱(コメガヤ)はイネ科コメガヤ属の多年草である。
北海道から九州にかけて分布し、山麓や山地の林の中や林の縁に生える。
海外では、北半球の温帯地域に広く分布する。
別名を雀の米(スズメノコメ)ともいう。
草丈は15~50センチくらいである。
葉は線形で、つけ根の部分には筒形の葉鞘(茎を鞘状に包むような形になった葉のつけ根)があり、紫色を帯びている。
開花時期は5~7月である。
米粒に似た小穂を10個くらい片側につけ、弓なりになる。
小穂は長さが5~8ミリくらいで、白緑色で横向きにつく。
色は褐色を帯びるものもある。
花の後にできる実はえい果(イネ科の果実で薄い木質の果皮が種子に密着している)である。
属名の Melica はギリシャ語の「melica(キビ)」が語源で転用された。
種小名の nutans は「頭を垂れた」という意味である。
写真は5月に東京都薬用植物園で撮った。
学名:Melica nutans


★米粒を思わすような穂の形
 愛嬌あるね雀の米は




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